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Channel: 写真・俳句ブログ:犬の散歩道
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檜扇の花揺れてあり京の坂

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■ 檜扇の花揺れてあり京の坂
         ( ひおうぎの はなゆれてあり きょうのさか )
 
先週の土曜日、久しぶりに清水寺に行ってきた。この寺は、ユネスコ世界文化遺産にも登録され、「清水の舞台から飛び降りる」という語源にもなっていて、全国的に広く知られている。ただ、東山・音羽山の中腹にあるため、たどり着くには、いくつもの坂を時間をかけて登らなければならない。

イメージ 1今回は、八坂神社から、ねねの道を通り、二年坂、三年坂(産寧坂)を登って行ったが、午前の早い時間帯にもかかわらず人が多かった。坂道の両側には、京都ならではの土産屋や飲食店などが並び賑わっていたが、ある店の前で思いがけなく見たのが、鉢植えの檜扇(ひおうぎ)。その端正な花姿や色合いが、その場の雰囲気に非常に馴染んでいた。
 
上句は、そんな檜扇の花を見て詠んだ句である。檜扇は「桧扇」「射干」とも書き、晩夏の季語になっている。
 
檜扇(桧扇)は、アヤメ科ヒオウギ属の多年草。原産地は日本、中国など。7月~8月に、オレンジ色で赤色の斑点のある6弁の花を咲かせる。種子は黒色で「射干玉(ぬばたま)」 「烏羽玉(うばたま)」といい、和歌では「黒」「夜」「暗き」などにかかる枕詞にもなっている。その関連で別名に「烏扇(からすおうぎ)」がある。

尚、花の名前は、剣状の葉が、「檜扇」という扇に似ていることからつけられたとのこと。「檜扇」は、檜(ひのき)の薄板を重ねて作られたもので、主に宮中で用いられる貴いものだそうだ。
 
   【檜扇(射干)の参考句】
     射干も一期一会の花たらむ        (石田波郷)
     射干の花大阪は祭月           (後藤夜半)
     射干のまはりびつしより水打つて    (波多野爽波)
     射干の前をときどき笑ひ過ぐ       (岡井省二)
     檜扇のうしろ清少納言かな        (平井昭敏)
 
イメージ 2

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