■ 秋彼岸明けて炎の花も消ゆ
( あきひがん あけてほのおの はなもきゆ )
今年の秋の彼岸は、彼岸入りが9月20日、中日が9月23日、そして彼岸明けが9月26日だった。彼岸が明けてもう数日経過したが、炎のように咲き誇っていた花は、今はもうすっかり萎れてしまい、茎だけが虚しく残っている。
尚、彼岸はご承知の通り春と秋にあり、「彼岸」単独では春の季語となり、秋の季語にするためには「秋彼岸」としなければならない。
ところで彼岸とは何なのか。これは雑節の一つで、二十四節気の春分及び秋分を中日とし、前後三日間をあわせた七日間をいう。彼岸とは、本来は極楽浄土のことをさすが、この期間に仏様の供養をする事で極楽浄土へ行くことが出来ると考えられているそうだ。
話は変わるが、彼岸花に関しては、数年前、地中から花茎を出し、花を咲かせ、そして萎れていく様子を句と写真で綴り、「彼岸花の花日記」と題して別書庫を作成した。興味のある方は、下掲のリンクボタンを押してご覧いただきたい。
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この書庫掲載以外では、過去に以下の句を詠んでいる。
【関連句】
① 此岸にも彼岸にもほら曼珠沙華
② 彼岸花咲けば暑さも和みけり
①は、極楽浄土を指す「彼岸」とこの世を指す「此岸(しがん)」という言葉を使って、曼珠沙華が、この岸にもあの岸にも咲いていると詠んだもの。②は、「暑さ寒さも彼岸まで」という慣用句を念頭に詠んだ句。
彼岸花(曼珠沙華)は、ヒガンバナ科ヒガンバナ属の多年草で中国原産。葉が春になると全て枯れ、9月中旬頃、花茎だけが地中から出てきて、先端に5個から7個ほどの小花を咲かせ、それらが一輪の華やかな花姿を形成する。
ただ、少しどぎつい花の色や毒があることなどから、死人花、地獄花、幽霊花などと忌み嫌われることもあるらしい。園芸種として、花色が白、黄のものもある。
曼珠沙華消えたる茎のならびけり (後藤夜半)
曼珠沙華落暉も蘂をひろげけり (中村草田男)
曼珠沙華散るや赤きに耐へかねて (野見山朱鳥)
燃え残る彼岸花あり雨の中 (阿部ひろし)
草の中に茫々と生ふ彼岸花 (松崎鉄之介 )
曼珠沙華落暉も蘂をひろげけり (中村草田男)
曼珠沙華散るや赤きに耐へかねて (野見山朱鳥)
燃え残る彼岸花あり雨の中 (阿部ひろし)
草の中に茫々と生ふ彼岸花 (松崎鉄之介 )