■ 韮の花しゃしゃり出でたるせせり蝶
( にらのはな しゃしゃりいでたる せせりちょう )
先日、近所の空地に植えてある韮の花が満開になっていたので写真を撮っていたら、せせり蝶が1匹(頭)飛んできて蜜を吸いだした。その様子が面白くて詠んだのが本日の掲句である。季語は「韮の花」で季は秋。(夏とするところもある。)「韮」単独では春の季語。
この蝶について、ネット(主としてWikipedia)で調べたことを簡単に整理すると以下のようになる。
●せせり蝶(挵蝶)は、セセリチョウ科に含まれる蝶の総称ないし俗称。セセリチョウを標準和名とする蝶はいない。
●触角は他の蝶と同じく棍棒状で、先がとがっている蛾とは違う。但し、先端が鉤状に尖り、反り返っている。
●他の蝶とは違い、胴体が太く短く、頭部が大きく、翅が小さく、脚が短い。全体的にずんぐりした体型である。
●胴部が太いのは、翅を動かすための胸部の筋肉が多いからで、羽ばたきと飛行は素早く力強い。
●世界にはセセリチョウ科に分類される蝶が非常に多い。日本には4亜科37種がいる。(写真の蝶は、多分セセリチョウ亜科のイチモンジセセリ。)
因みに、この蝶の体型から、以下の句を詠んでみた。
飛べせせりスペースシャトルのごと宙へ
体型がスペースシャトルに似ていると思うのだが、どうだろう。
一方、韮は、ヒガンバナ科ネギ属の多年草。原産地は中国。花期は8月~10月頃。花茎の先端に、白い小さな花を20~40個つける。花弁は3枚だが、苞が3枚あり、6弁花のように見える。細長くまっすぐに伸びた葉は加熱すると柔らかく、和食で汁の実や薬味、おひたしなどにする他、中華料理、韓国料理によく用いられる。
尚、「花韮」と呼ばれる植物があるが、これは、韮とは全く別種の植物である。
掲句は、どちらかというとせせり蝶が主題だが、それを詠んだ句はほとんどないので、以下には「韮の花」を詠んだ句を掲載する。
【韮の花の参考句】
戯れる蝶より白し韮の花 (林真砂江)
韮の花にもまつはつて飛べるもの (行方克己)
人去つて風残りけり韮の花 (岸田稚魚)
足許にゆふぐれながき韮の花 (大野林火)
盛ともなれば艶めき韮の花 (倉田紘文)