■ 黄金に染むも鬼百合鬼は鬼
( おうごんにそむも おにゆり おにはおに )
最近、庭や道端などで鬼百合(おにゆり)をよく見かける。鉄砲百合などは盛りを過ぎたようで、この百合が非常に目立ってきた。この鬼百合の変種に「黄金鬼百合(おうごんおにゆり)」というのがあり、先日行った植物園でその現物を見てきた。名前の通り、形は鬼百合だが、色が赤朱色でなく黄(金)色。
ところで、この句は、以前に詠んだ次の句の続きで詠んだものでもある。
【関連句】
百合なれど鬼と呼ばれる定めとは
(2011/7/21作)
鬼百合もピンクを着れば鹿の子百合
鬼百合もピンクを着れば鹿の子百合
(2012/8/28作)
先の句は、百合は美しい女性を形容する時に使われるが、鬼と言われるなんて何という定め(運命)なのだろうと憐れんで詠んだ句。後の句は、鬼百合もピンク色になれば、鹿の子百合(かのこゆり)という可愛い名前になったのにね、というのが句意。いずれの句も鬼百合の「鬼」にこだわって詠んだ句である。
鬼百合は、句の題材としては面白いと思うのだが、鬼百合を入れた句はあまりなく、かろうじて以下の句をネットで見つけた。
【参考句】
亭寂寞薊鬼百合なんど咲く (夏目漱石) *寂寞(じゃくばく)、薊(あざみ)
鬼百合がしんしんとゆく朝の空 (坪内稔典)
鬼百合を一輪咲かす五欲かな (天野きく江)