■ サボテンや今入魂の花に咲く
( さぼてんや いまにゅうこんの はなにさく )
サボテンは、熱帯の乾燥地などに多い花なので、近辺ではあまり見ないが、先日ある家の前を通ったらプランターに花を咲かせていた。その咲きっぷりが見事で、丸い体(茎)からそれ
を上回る大きさの花をいくつもつけていた。
本日の掲句は、その様子を見て詠んだ句だが、まさに精魂を注ぎこむこんで咲かせた花のように見える。ただ、サボテンと言っても種類が非常に多く、花や姿もかなり違うため、写真がなければイメージできないかも知れない。サボテンの花は、夏の季語。
サボテンは、サボテン科の多肉植物の総称。南北アメリカ大陸などの乾燥地に2000以上の種がある。茎は、柱状・球状・板状等になって茎節に分かれ、茎節に葉の退化した刺(とげ)がある。多くは夏に美しい花をつける。花色は、白、黄、赤と様々で、大振りのものが多い。
日本には16世紀後半に南蛮人によって持ち込まれたのが初めとされている。彼らが「ウチワサボテン」の茎の切り口で畳や衣服の汚れをふき取り、樹液をシャボン(石鹸)としてつかっていたため「石鹸のようなもの」という意味で「石鹸体(さぼんてい)」と呼ばれるようになったとする説が有力。そのため「シャボテン」ともいう。
漢字では仙人掌(せんにんしょう)あるいは覇王樹(はおうじゅ)と書く。仙人掌は中国では「ウチワサボテン」のことを指し、それが仙人の掌のように見えたことからついたとのこと。覇王樹、その棘の荒々しさと花の美しさを指していったもの。
サボテン(シャボテン)に関する参考句はたくさんあるが、外見が多種多様であるため、見るサボテンによりイメージが大分違ってくる。したがって、句からどんな種類のものを見たのだろうと想像してみるのも面白い。
【サボテン(シャボテン)、仙人掌の参考句】
サボテンの奇峰を愛す座右かな (村上鬼城) *座右(ざゆう):身近な所
サボテンの奇峰を愛す座右かな (村上鬼城) *座右(ざゆう):身近な所
サボテンの指のさきざき花垂れぬ (篠原鳳作)
サボテンの花爛々と古港 (柴田白葉女)
さぼてんの楕円へゆるやかな午前 (桂信子)
シャボテンの掌に花ひとつづつ (中島杏子)*掌(てのひら)
サボテンの花爛々と古港 (柴田白葉女)
さぼてんの楕円へゆるやかな午前 (桂信子)
シャボテンの掌に花ひとつづつ (中島杏子)*掌(てのひら)