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Channel: 写真・俳句ブログ:犬の散歩道
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くすくすと風も笑うよ楠若葉

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■ くすくすと風も笑うよ楠若葉
               ( くすくすと かぜもわらうよ くすわかば )
 
今新緑が眩しい。近くでは街路樹の桜、欅、銀杏などがめいっぱい若葉を広げている。先日行った植物園でも様々な若葉が見られたが、中でも東西方向200メートルにわたる楠(くすのき)並木は圧巻だった。この楠は、開園当初から植えられ、ほとんどが樹齢90年を迎えるそうだ。

イメージ 1本日の掲句は、そんな楠並木の若葉を見て詠んだ句である。この若葉を俳句では楠若葉(くすわかば)といい、特別に愛でられている。上五の「くすくすと」は語呂合わせで使った言葉だが、おりしも風が吹いていて、まさにそんな風情だった。「楠若葉」は「樟若葉」とも書き、夏の季語。

因みに、若葉に固有名詞がついて季語になっているものは他にたくさんある。柿若葉、藤若葉、蔦若葉、椎(しい)若葉、朴(ほう)若葉など。また、場所をつけ、谷若葉、山若葉、里若葉、庭若葉、窓若葉などと言ったり、気候などに合わせて、若葉風、若葉晴、若葉時(季)、若葉冷、若葉闇 などと言ったりもする。今後機会があれば、句に詠んでみたい。
 
楠(樟)は、クスノキ科ニッケイ属の常緑広葉樹。台湾、ベトナムなどの暖地に生息し、それらの地域から日本に進出したとされている。(史前帰化植物)

初夏に大量に落葉すると同時に緑の若葉が湧き立つように生えてくる。葉は革質で光沢があり、若葉の中でも独特な美しさがある。花期は5月から6月で、白く淡い黄緑色の小さな花が咲くが、あまり見栄えがしない。

楠は、日本の樹木の中で、最も巨大で長寿を保つ。そのためか、神社では、ご神木として人々の信仰の対象とされる。因みに日本で一番大きな楠は、鹿児島県の蒲生八幡神社境内にそびえ立つ大楠で、樹齢約1,500年、根周り33.5メートル、目通り幹囲24.22メートル、高さ約30メートルあるそうだ。
 

イメージ 2名前については、全体的に特異な芳香を持つことから、「臭し(くすし)」が語源となったとする説、樟脳(しょうのう)を作る材料にもなるので、「薬(樟脳)の木」が語源となったという説などがある。
*樟脳:クスノキの枝葉を蒸留して得られる無色透明の固体のことで、防虫剤や医薬品等に使用される。カンフル注射のカンフルはこの樟脳を指している。

    【楠若葉、樟若葉の参考句】
     くすの木千年さらに今年の若葉なり   (荻原井泉水)
     千年の楠の大樹の金若葉          (高橋悦男)
     往来の大手門址楠若葉           (梅林昌彦)
     楠若葉団地全棟全戸老ゆ         (小川軽舟)
     山頂の岩が神の座楠若葉         (藤田柊車)
 
                                   *小さい粒のように見えるのが楠の花の蕾
イメージ 3

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