■ 猫柳尾っぽ毛立てて花盛り
( ねこやなぎ おっぽけだてて はなざかり )
昨日に続き、今日も少し時期がずれるが、季題は猫柳(ねこやなぎ)である。猫柳といえば、大概の人は、銀白色の毛に包まれた楕円形のものが、いくつも枝に並んでいる姿を浮かべるのではないだろうか。
①2014年3月初
しかし、猫柳にそんな花が咲いたという話はきかない。実は、猫柳のものは花穂(かすい)で、毛の間に花弁のない細かい花が咲く。右下写真の毛が立った感じのものが、雄蕊もしくは雌蕊であり、一つ一つが小さな花なのである。尚、猫柳は雌雄異株で、写真のものは多分雄株だと思うが、自信はない。
本日の掲句は、そんな猫柳の花を見て詠んだ句である。猫柳は、周知の通り、花穂の姿が、猫の
尾っぽのように見えるので、その名がついた。 ②2014年3月末
ただ、本句は、猫柳の本当の花を見知っていないとイメージが湧かない、いささかマニアックな句ではある。猫柳は春の季語。
因みに、猫柳には園芸品種で、花穂が銀色でなくピンク色のものもある。それを見て、一昨年以下の句を詠んだ。(最後尾の写真参照)
艶っぽくピンク色なる猫柳
猫柳は、ヤナギ科ヤナギ属の落葉低木。花期は、3月~4月。かつては、山奥の渓流から下流域の川辺に幅広く自生していて、春先には必ず見られたのだが、最近はほとんど見られなくなった。
野辺の川そのものが少なくなってきたこと、川辺の整備が進んだためと思われるが、ちょっとさびしい気もする。別名に川柳(かわやなぎ)、狗尾柳(えのころやなぎ)がある。
【猫柳の参考句】
万葉の古江の春や猫柳 (水原秋桜子)
せせらぎはむかしの速さ猫柳 (鷹羽狩行)
猫柳高嶺は雪をあらたにす (山口誓子)
猫柳日輪にふれ膨らめる (山口青邨)
草の戸にふやけて咲くや猫柳 (村上鬼城)
③2014年3月末
④ピンク猫柳(2012年3月初)