■日光東照宮 二句
○ 花見ざるとは言わざるべきか東照宮
( はなみざるとは いわざるべきか とうしょうぐう )
○ 神ならば何を叶えん家康よ
○ 神ならば何を叶えん家康よ
( かみならば なにをかなえん いえやすよ )
旅行二日目の午後、向かったのは日光東照宮(にっこうとうしょうぐう)である。周知の通り、この神社は、1617年に徳川初代将軍徳川家康公を御祭神として祀り、建立された。
神厩舎とは神馬をつなぐ厩(うまや)のことだが、昔から猿が馬を守るとされているところから、猿の彫刻が施されているとのこと。猿の彫刻は全部で八面あり、人間の一生を風刺している。その内の一面が、「見ざる・言わざる・聞かざる」の、あの三猿である。
本日の掲句の第一句は、その三猿に因んで詠んだ句。日光の春が遅いからか、境内では、花らしい花、特に梅や桜は全く見られなかった。そのことを三猿にかけて詠んで見た。尚、俳句では単独で花を使う場合は、桜のことを指し、春の季語となる。
三猿を見た後、陽明門、三神庫など重文級、国宝級の建造物を見たが、中でも花鳥が精緻に彫刻がされ、極彩色で彩られた廻廊が印象的だった。最後に行ったのは、御本社(ごほんしゃ)だが、ここは、東照宮の最も重要なところで、例祭をはじめ、年中の祭典が斎行される。
拝殿の中に入ると、左右に、「将軍着座の間」「法親王着座の間」などがあり、昔は、身分・位により、着座の位置が決まっていたそうだ。祭礼が行われる所は、いかにも厳粛な感じがし、家康公を偲ぶには十分な雰囲気が整えられていた。尚、撮影禁止で写真は撮れていない。
掲句の第二句は、その拝殿の雰囲気を思いだしながら後に詠んだ句である。不遜にも家康公に対し、本当に神になったのなら、この世の中でどんな願いを叶えるのかと尋ねたもの。個別にお願いすれば、仕事・発展運、勝負運がアップされるそうだが。本句は無季。
東照宮は広く、他にもいくつかのスポットを案内されたたが、細かくなるので記述は割愛する。じっくり見るには最低でも丸一日はかかるだろう。
この地を後したのは、夕方4時ごろ。向かったのは、宿泊先のある鬼怒川(きぬがわ)温泉だが、ここには、特別の繁華街はなく、鬼怒川を挟んで、いくつもの高層ホテルが並んでいた。
尚、三日目については、電池切れなどで写真が十分撮れなかったこともあり、記事の掲載は割愛する。来週からは通常通りの投稿としたい。
あらたふと青葉若葉の日の光 (松尾芭蕉)
灯のともる東照宮や杉の雪 (正岡子規)
日光は紅葉を葺いて祭かな (山口青邨) *葺く(ふく)
梅雨烏一度の飛翔陽明門 (細見綾子)