■ 梅の枝に身も逆さまに目白かな
( うめのえに みもさかさまに めじろかな )
暫く寒さが続いたが、予報では今日あたりから10度を超える暖かさになるようだ。梅の方も、寒いからと待ってはおれず、近所の白梅も満開になってきた。その梅の木に、時々やってくるのが目白(めじろ)で、先日も数羽の目白が枝から枝へと飛び回っていた。
本日の掲句は、そんな目白を詠んだものである。目白は、目に白い絵の具で○をしたような、少しとぼけた顔をしている。それが、枝にとまって身を逆さまにして蜜を吸っている様子は、実に可愛らしい。掲句は、そんな様子を句にした。
尚、「目白」は、いくつかの歳時記では、夏の季語もしくは秋の季語にしている。年中見られる鳥なのに何故なのかは良くわからない。今後更に理由を調べることとし、本句では、「梅」を季語に、春の句とした。
ところで、「梅に鶯」と言われ、花札にも描かれているが、これには混同があると言われている。実のところ、鶯は主に虫や木の実などを食べるので、花蜜を吸うことはめったにない。一方、目白は、花の蜜や果汁を好み、早春には梅の花を求めて集まってくる。だから、「梅に鶯」でなく、「梅に目白」が正しいというのである。
確かに、鶯は警戒心がとても強く、声はすれども、梅の木にとまって鳴いている姿は滅多に見られない。どうやら、「梅に鶯」というのは、「梅の花」と「鶯の囀り」を頭の中で合体したもので、それがイメージとして定着したもののようだ。
目白は、スズメ目メジロ科メジロ属の鳥の一種。東アジアから東南アジアにかけて分布する留鳥または漂鳥。全長約12 cmで、スズメよりもやや小さい。緑がかった背と暗褐色の羽を持ち、雌雄同色。目の周りの白い輪が特徴で、名前の由来にもなっている。英名でも "White-eye" と呼ばれているそうだ。
尚、目白を詠んだ句については、ネットで以下の句を見つけた。「目白」を季語とすれば、、前三句はともに季重なり。こうなると「目白」を季語とする意味がどこにあるのか分からなくなる。
【目白の参考句】
南天の実をこぼしたる目白かな (正岡子規)
見えかくれ居て花こぼす目白かな (富安風生)
紅葉して目白のうたも寂びにけり (篠田悌二郎)
目白の巣我一人知る他に告げず (松本たかし)
*「目白の巣」は、春の季語「鳥の巣」に準じる。