■ 較ぶれば大和撫子お淑やか
( くらぶれば やまとなでしこ おしとやか )
花期が6月~9月なので、立秋以後に取り上げることも考えたが、現在、「大和撫子」以外にもナデシコ科ナデシコ属の花が盛んに咲いているので、それと合わせて取り上げることにした。
具体的にどんな花が咲いているいるかというと、まず、「唐撫子(からなでしこ)」とも言われる「石竹(せきちく)」、「アメリカ撫子」が上げられる。
また、「カーネーション」もナデシコ属の一種で「オランダ撫子」という。更に、園芸品種も沢山作出され、「ダイアンサス」という名で流通している。
*これらの写真は、一番最後の方に掲載しているので、ご参照いただきたい。
本日の掲句は、それらのナデシコと較べてみると、「大和撫子」は、お淑(しと)やかに見えると詠んだもの。 *お淑やか:身の振る舞いや話し方が落ち着いていて上品なさま。
いろいろな植物を見てきて、最近特に思うことは、国民性というのは、その地に自生する草花に影響されるのではないかということ。
その観点から見れば、唐撫子=石竹は大柄で派手、アメリカ撫子は、様々な色の物があり賑やかである。何となく、かの国の国民性を表している感じがする。
【関連句】
① しなやかに楚々ときめたり大和撫子
② 淑やかな撫子強しリオ五輪
②は、4年後のリオ五輪で、日本女子レスリングが、6階級で4つの金メダルと1つの銀メダルをとったことを称えて詠んだ句。
「撫子」の名前の由来は、花の色や姿から、愛児に擬して「撫でるように可愛いい子」→「撫でし子」になったという説が有力である。
*白色の撫子「撫子」を詠んだ句は結構あるが、その中から比較的イメージしやすいものを選定し以下に掲載した。(過去に掲載したものを除く。)
【撫子の参考句】
撫子にかかる涙や楠の露 (松尾芭蕉)
撫子も草の庵も富士のもの (高浜虚子)
撫子や高野の道の地蔵堂 (河東碧梧桐)
撫子の咲き澄む泉汲みにけり (中村四峰)
撫子を摘みし束の間富士を見し (山田弘子)
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石竹 (唐撫子)
アメリカ撫子
カーネーション (オランダ撫子)