■ 赤チンの色に咲きけりゼラニウム
( あかちんの いろにさきけり ぜらにうむ )
そのため、他の植物との違いを言葉で表すことができず、俳句に詠むことが却って難しい。
本日取り上げた「ゼラニウム」もその一つで、数年前から花と名前は知っていたが、句には詠めなかった。
ただ、以前より気になっていたことに「ゼラニウム」という名前がある。
語尾の「ニウム」は、「アルミニウム」「ナトリウム」「マグネシウム」など元素名でよく使われれるが、何か関連があるのだろうか。
調べて見ると、「イウム-ium(-um)」は、金属名につけるラテン語の中性名詞の語尾形で、1807年のカリウム発見以来、金属元素の語尾に「-ium」をつけることが慣習となったそうだ。
ならば、「ゼラニウム」も金属元素に関係があるのかと調べて見たが、はっきりしたことはわからなかった。ただ、植物にも「-ium」が付いているものが結構あることが分かった。例えば「アリウム」「エキウム」「アデニウム」など。
何の変哲もない句だが、かの松尾芭蕉も「秋海棠西瓜の色に咲きにけり」という句を詠んでいるので、これもありだろう。尚、「ゼラニウム」は花期が長いので季語にはなっていないと思っていたが、歴とした夏の季語になっている。「ゼラニューム」とも言う。
*元々のゼラニウム属は、後にゼラニウム属とペラルゴニウム属に分離される。園芸ではペラルゴニウム属に分離された方が旧属名の「ゼラニウム」で通っている。
花期は、一季咲き種が4~6月。四季咲き種が4月~7月、9月~11月。
葉は丸っこく、馬のひづめ型の黒っぽい斑紋がつく。その葉が葵の葉にそっくりであることから、別名に「天竺葵(てんじくあおい)」がある。「天竺」は異国産の意。
【ゼラニウム(ゼラニューム)の参考句】
ゼラニューム午後の雲満ちひろがるも (有働亨)
ゼラニウム遊廓跡に海が見え (佐々木六戈)
ゼラニューム野放しにしてこの洋館 (高澤良一)
いやな日は早く寝ますわゼラニューム (池田澄子)
ゼラニウムの出窓に髭の顔ひとつ (石寒太)
ゼラニウムの出窓に髭の顔ひとつ (石寒太)
*ピンクのゼラニウム