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Channel: 写真・俳句ブログ:犬の散歩道
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鈍色の空を震わす初音かな

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■ 鈍色の空を震わす初音かな
                 ( にぶいろの そらをふるわす はつねかな )
 
先週の土曜日は、少し曇っていたが、散策がてら近くの神社に行ってきた。境内をしばらく歩いたが、特に目新しいものもないので帰ろうとした矢先、大きな木の上方から、突然鶯(うぐいす)の鳴き声が聞こえてきた。今年初めて聞いたもので、自分にとっては初音(はつね)である。

イメージ 1掲句は、その時の状況を句にしたもの。初音とは、鳥や虫の、その年、その季節の最初の鳴き声のことだが、俳句で単独で使う場合は、鶯の鳴き声をいい、春の季語になっている。

因みに初音に関しては、過去には以下の句を詠んでいる。

 【関連句】
    ① 初音ゆえちょっと外れて
                           ホケキョケキョ
    ② 空色の初音かすかに杜の朝 
                   *杜(もり):特に神社の森をいう。

①は、鶯の鳴き声が、少し調子外れに聞こえてきたので、そのことを詠んだ。どの鶯も最初からうまく鳴けるわけではなく、若鳥は幼い頃に聞いた他の鶯のさえずりを覚えておいて、次の年の春にそれを思い出しながら練習をし、だんだんうまくなっていくそうだ。
 
また、大人になっても、毎年春先から練習を重ね、上手なさえずりができるようになっていくとのこと。だから、初春よりも春の終わりから、夏の初め頃の鳴き声が一番美しい。

②は、3月末頃のある晴れた日に聞いた初音。この頃にはすっかり春らしくなっていた。同じ初音といっても、こちらが聞き初めの時期なので必ずしも時期は一定しない。

写真は、初音を聴いた場所近辺の風景。声が聞こえても姿jは見えない。しばらく鳴いた後、どこかへ飛び立ったのか何も聞えてこなくなった。
 
 
    【初音の参考句】
     鶯の身をさかさまに初音かな     (宝井其角)
     鶯の岩にすがりて初音かな      (久米素行)
     うぐひすの麁相がましき初音哉     (与謝蕪村) 
           *麁相(そそう)=粗相:不注意、軽率から過ちを犯すこと。
     笹啼が初音になりし頃のこと      (高浜虚子) 
            *笹啼(ささなき):冬の鶯の地鳴きのこと
     この里の通りすがりの初音かな    (山口青邨)
 
イメージ 2

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