■ クロッカス大地いよいよ春めける
( くろっかす だいち いよいよ はるめける )
冬から咲き始めていた「水仙」はやや盛りが過ぎ、「チューリップ」は、まだだいぶ先で、葉だけが土から出ている状態だった。
さて、その「クロッカス」だが、この植物は背が低く、地表から茎を伸ばし花壇の一画を埋めるように花を咲かせる。
今年も紫色、黄色、白色など多くの花を咲かせ、まさしく春らしい雰囲気を醸し出していた。
本日の掲句は、そんな様子を見て詠んだ句である。「クロッカス」は春の季語。
「春めく」も春の季語なのだが、本句は敢えて季重なりとした。
因みに、「クロッカス」に関しては、過去に以下の句を詠んでいる。
【関連句】
① 紫も黄色も白もクロッカス
② クロッカス心も軽くクロッカス
③ 大地には喜びの歌クロッカス
②は、クロッカスという花の名前の響きに着目して詠んだ句。真ん中の促音「ッ、っ」が、春の陽気に感応し、非常に軽やかな感じがする。
③は、植物園の一画を埋めるように咲いているクロッカスを見て、まるで大地から春の喜びの歌が聞こえてくるようだと詠んだもの。着想は本日の掲句と類似。
花期は2月初旬から4月。丈夫な植物だが日光が足りないと花付きが極端に悪くなるとのこと。
尚、クロッカスの名前はギリシア語のクロケ(糸)に由来し、糸のような細長いめしべを持つ種があることに因んでつけられたそうだ。
← サフラン (11月初に撮影)
*赤い雌蕊が摘まれ、スパイスや生薬に。
クロッカスが俳句に詠まれるようになったのは昭和に入ってからだそうだ。以前にも何句か紹介したことがあるが、以下にはそれ以外の句をいくつか選んで掲載した。
【クロッカスの参考句】
日が射して又失せてゆくクロッカス (星野椿)
公園のからくり時計クロッカス (曷川克)
クロッカス地中より色押し出せり (白石順子)
北欧の消印淡しクロッカス (甲斐虎童)
クロッカスに始まる庭の花暦 (山本美紗)