■ 葉牡丹を植えて園生の年用意
( はぼたんを うえてそのうの としようい )
そんな中目立ったのが、やはり「葉牡丹(はぼたん)」である。ご承知の通り、葉牡丹は花ではなく、葉が渦巻き状に重なり、艶やかな牡丹の花のようになる。(名の由来。)
例年のことだが、この時期は、この葉牡丹が植物園の主役を演じる。実のところ、毎年そんな状況を見て以下のような句を詠んできた。
葉牡丹が主役となりぬ花の園
葉牡丹が代役務む花の園
本日の掲句も、あまり変わり映えしないが、年末の「年用意(としようい)」にかけて詠んだ。
「年用意」とは、新年を迎えるために、掃除・注連縄(しめなわ)張りなどの準備をすることだが、植物園においては、花壇を葉牡丹などで飾ることも一つの年用意となる。
尚、「葉牡丹」「年用意」が共に冬の季語なので本句は季重なり。
【関連句】
① 葉牡丹の葉色葉並び葉振り良し
② 葉牡丹の渦にきらめく滴みゆ
① 葉牡丹の葉色葉並び葉振り良し
② 葉牡丹の渦にきらめく滴みゆ
②は、葉牡丹が日に当たり、葉の滴(しずく)が光っているのを見て詠んだ句である。
「紅白の色合いがおめでたい」「幾重にも重なる葉は吉事が重なることに通じる」というのが使用されている理由らしい。
葉牡丹は葉がキャベツにそっくりなので、「花キャベツ」という別名もあるが、実際食べることができるのか。ある人の説では、「固くてまずい」「園芸用農薬が使われている」などの理由で、食べることはできるが食べない方が良いということだった。
【葉牡丹の参考句】
葉牡丹にうすき日さして来ては消え (久保田万太郎)
葉牡丹に植ゑ替へられし港かな (黒田杏子)
葉牡丹に午後の人出の駅広場 (若倉文子)
葉牡丹の渦に吉凶ありにけり (内藤みのる)
葉牡丹の螺旋ぶるぶる狂ふかな (櫂未知子)