■ あんぐりと口をあけたる通草かな
( あんぐりと くちをあけたる あけびかな )
田舎では、それが自生していなかったせいか、取って食べたという記憶はない。だからどんな味がするのかも分からない。
本日は、その果実が棚に絡まりながら生っているのを見て詠んだ句。ぱっくり割れて白いものが見えているのが印象的だった。
尚、「通草」は果実が秋の季語。花は春の季語。
ところで、通草の果実はどこが食べられ、どんな味がするのか。ネットで調べるたところによると、種の周りのゼリー状のものと皮が食べられるそうだ。
そして、ゼリー状のものはほんのり甘く柿っぽい味で、皮の方は独特の苦みがあるとのこと。
近所の店では売ってなかったが、通販で産地より取り寄せることができるそうなので、機会があれば食してみたい。
雄雌が分かれて垂るる花通草 *雄雌(おすめす)
*通草の花(本年4月末撮影)
この句は、通がが雌雄同株で、雄花、雌花があることを知って詠んでもの。雄と雌は、人間で言えば男と女。それに絡む事件(セクハラなど)が当時非常に注目されていたので、それに関連させて詠んだ。
*雌雄同株(しゆうどうしゅ)とは、同じ株で雄花、雌花があるもの。対して雌雄異株(しゆういしゅ)とは違う株に雄花、雌花がなるものをいう。
果実は9月~10月に淡紫色に熟し、果皮が裂ける。このことから「開け実」と言われ転じて「あけび」となったと言われている。漢字の「通草」、「木通」は、蔓を切って吹くと空気が通ることから。
「通草(木通)」を詠んだ句はままあるが、以下にはネットで見つけた句をいくつか参考まで掲載した。(俳句では「木通」でなく「通草」と表記されることが多い。)
【通草(木通)の参考句】
一夜さに柵で口あく木通かな (小林一茶)
林ゆく雨や通草がぬれしのみ (水原秋桜子)
夕空の一角かつと通草熟れ (飯田龍太)
飯盛山あけび悉皆裂けてけり (百合山羽公)
通草蔓ひつぱつてみて仰ぎけり (深見けん二)