■ 柿色の柿の葉っぱはカーキ色
( かきいろの かきのはっぱは かーきいろ )
今その柿が木の枝の先々に鈴なりに実り、鮮やかな柿色に色づいてきている。
その一方で、緑色の葉も次第に紅葉してきており、秋の深まりを日に日に感じさせてくれる。
本日の掲句は、そんな光景を見ながら詠んだ句だが、言葉遊びを意識した戯れ句でもある。「柿」は秋の季語。
この句のポイントは、言うまでもなく、上五の「柿色」と下五の「カーキ色」の取り合わせ(語呂合わせ)なのだが、そもそも「カーキ色」とはどんな色なのか。
これまで漠然と黄色系統の色の一種かなと思っていたが、今回念のため調べてみた。その要点を整理すると以下のようになる。
【カーキ色とは】 *長いので興味のない方はパスしてほしい。
●カーキ(英語:Khaki)とはヒンディー語やペルシャ語からの借入語で「土埃」を意味し、主として軍服に用いられる淡い茶系色を指す。
●JIS慣用色名においては「茶色がかった黄色」と表現されるが、現実には橙色に近いものから緑色に近いものまでかなりの幅を持って使われている。
●そのため「砂色」「枯草色」などと呼ばれる場合もあり、「黄土色」や「オリーブ色」「ベージュ」なども広い意味でのカーキ色に含まれる。
●軍服としてのカーキ色は、19世紀半ばにインドに駐留していた英国軍が、白い夏服の汚れを嫌って当地の土を用いて服を染めて使ったのが始まりだと言われている。
●その後、「軍服色」という意味合いで、米軍のくすんだ濃緑色(オリーブドラブ) のこともカーキと呼ばれるようになり、今では迷彩柄で使われているような色全般をカーキということもある。
●日本では、1906年(明治39年)に陸軍が採用した帯赤茶褐色(黄土色)がカーキ色として紹介された。これも当時の主戦場であった中国大陸の黄土の色に合わせたものである。
【関連句】
① うまそうに柿柿色に色づけり
② 柿なれど鐘のならない古き寺
③ 柿熟れて啄む鳥もなかりけり
②は、正岡子規の句「柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺」のパロディー。お寺も後継者難と聞く。
③は、柿が熟れて鈴なりになっているが、採る人もおらず啄む鳥さえ全く見かけない情景を見て詠んだ句。
花は、白黄色の地味な花で、5月の終わり頃から6月にかけて咲く。葉は秋に紅葉するが、その「赤」い葉と「黄」色の実から、 「赤黄」→ 「あかき」→ 「かき」になった という説がある。
【柿の参考句】
しか~と日を吸ふ柿の静かな (前田普羅)
柿山に柿たべ柿の話する (辻田克巳)
柿どころなる奥美濃に柿熟るる (塩川雄三)
この烈風に落ちたる島の柿いくつ (中原道夫)
柿食ひぬ少年の日もかく食ひし (木下子龍)