■ 桜蓼今が見ごろと蟻の列
( さくらたで いまがみごろと ありのれつ )
桜と言えば、犬蓼(いぬたで)の仲間で、桜に似た花を咲かせる「桜蓼(さくらたで)」が満開だった。
本日の掲句は、その桜蓼を見ていた時に、蟻が列をなして花を訪れていたのを見て詠んだ句。
この蟻たちは、小春日和のような陽気に誘われ、こぞって花見に訪れているとこじつけてみたが、ちょっと無理があるかも。
蟻たちも花より団子で、多分吸蜜にきていただけだろう。
「桜蓼」は「蓼の花(赤まんま)」と同様、秋の季語。
【関連句】
① たでたでと言えど麗し桜蓼
② 水澄みて蓼も桜に咲きにけり
③ この沢は春の気分の桜蓼
②は、小林一茶の「我が国は草も桜を咲きにけり」という句をまねて詠んだもの。
③は、ある沢一面に桜蓼が繁茂し、花を満開に咲かせているのを見て詠んだ句。
【桜蓼の参考句】
桜蓼さしうつむきて媚にけり (富安風生)
桜蓼軒端に昏るる甲斐路ゆく (遠藤梧逸)
桜蓼かがめば聞こゆ飛鳥川 (大石悦子)
水底を水の翳ゆく桜蓼 (根岸善雄)
桜蓼神武天皇舟出の地 (高澤良一)