■ 街は今泡立草のあわ踊り
（ まちはいま あわだちそうの あわおどり ）
嵐山には阪急電車で出かけたが、車窓からは、沿線の土手を覆うように泡立草が群生し、黄色い花を咲かせている光景が所々で見られた。
また、街中のある大通りの沿道でも、泡立草が茎を伸ばし林立している場面をよく見かける。こんなところまで進出してきているのかと改めて驚く。
本日の掲句は、そんな泡立草が黄色の花を揺らしている光景を「あわ踊り」にかけて詠んだ句。ある面、賑やかでいいのだが縦横無尽に増えすぎるのもちょっと・・・・。
「背高泡立草」は秋の季語だが、名前が長いので「泡立草」と短縮することが多い。
【関連句】
① 草叢に未だ背は低き泡立草
② 背高を芒と競う泡立草
③ 傾けど花を絶やさぬ泡立草
②は、背高泡立草が芒と鎬（しのぎ）を削るように繁茂している様子を詠んだ句。一頃は川辺を席巻する勢いだったが、最近はやや勢いが衰えている感じもする。
③は、強風にあおられて茎が傾いたままの泡立草が、懸命に花を咲かせているのを見て詠んだ句。
花期は１０月～１１月。その繁殖力の強さは半端でなく、密集した花からできる大量の種子を四方八方に飛ばして新天地を開拓し、地下茎を伸ばして勢力を広げる。更に、地下５０ｃｍぐらいまで根を張り、毒素（アレロパシー）を分泌して他の植物を枯らし、駆逐してしまう。
名前は、背丈が高く、花が酒を酒造する時に出る泡に似ていることからつけられたとのこと。別名に「秋の麒麟草（あきのきりんそう）」がある。
【（背高）泡立草の参考句】
夜も昼も泡立草の来てゐたり （柿本多映）
昭和永し旅路いづこも泡立草 （安江緑翠）
泡立草空き地におしくらまんじゅうす （高澤良一）
泡立草泡立ちてゐる風の尖 （一柳はるみ）
泡立草宮址占領してゐたり （塩川雄三）
夜も昼も泡立草の来てゐたり （柿本多映）
昭和永し旅路いづこも泡立草 （安江緑翠）
泡立草空き地におしくらまんじゅうす （高澤良一）
泡立草泡立ちてゐる風の尖 （一柳はるみ）
泡立草宮址占領してゐたり （塩川雄三）