■ 着ぶくれてふくら雀と出会いけり
( きぶくれて ふくらすずめと であいけり )
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先日、ある公園を散策している時に、池の周りの鉄柵に沢山の雀が留まっていた。ゆっくりと近づき何枚かの写真を撮ったが、この頃の雀は、皆ふっくらとしている。これは、全身の羽毛をふくらませることで暖かい空気を溜め込み、寒さを防ぐためだそうだ。俳句では、このような雀を「ふくら雀」といい冬の季語となっている。
掲句は、そんな雀たちに思いがけなく出会ったことをそのまま詠んだ句である。ダウンジャケットで着ぶくれになった自分とふくら雀の取り合わせが面白く、今日の一句となった。尚、「着ぶくれ」も冬の季語なので、本句は季重ねの句。
ところで、この雀、年中みかける鳥なので単独では季語にならないが、他の言葉と合わせると季語になる。いくつか例を上げると以下のようになる。
春:孕み雀(はらみすずめ)、子持雀、雀の子
秋:稲雀(いなすずめ)
冬:寒雀、冬雀、ふくら雀
新年:初雀
雀に関しては、まだ俳句をそれほど詠んでいないが、過去には以下の句を詠んでいる。
【関連句】
① 忙しなき小さき春の雀かな
② 稲雀45度にて群ら立ちぬ
①は、少し春めいてきた土手で、ぴょんぴょんと忙しなく跳ねている雀を見て詠んだ。②は、稲株の残る田んぼで、落穂を啄んでいた稲雀が、何かの気配で一斉に飛び立つ様子を詠んだ句。
【ふくら雀の参考句】
葉は散てふくら雀が木の枝に (上島鬼貫)
両頬に墨つけふくら雀かな (川崎展宏)
佳き名つけふくらすずめを飼ひたしや (大石悦子)
老人とふくら雀に冬深む (村越化石)
病む母にふくら雀の来て遊ぶ (谷口ふみ子)