■ 藤の香や鳳凰光る平等院
( ふじのかや ほうおうひかる びょうどういん )
こちらで藤の花を見るのは初めて。7-8分咲きだと聞いていたが、予想通り人出が多く、チケット売場には行列ができていた。その近辺にも藤棚があり、多くの人が写真を撮っていた。
院内に入ると、先ず目に入ってきたのが、平等院の建物(鳳凰堂)とその屋根に金色に光る「鳳凰(ほうおう)」の像。(右下写真)同時に、入口にあるものよりも大きな藤棚。近くによると甘い香りが漂ってきた。
本日の掲句は、その藤の花と平等院の象徴でもある「鳳凰」の取り合わせで詠んでものである。「藤」は春の季語。
平等院(びょうどういん)は、京都府宇治市にある藤原氏ゆかりの寺院。平安時代後期・11世紀の建築、仏像、絵画、庭園等を今日に伝え、「古都京都の文化財」として世界遺産に登録されている。「鳳凰」は縁起のよい鳥で、2004年から発行の現行一万円札裏面にも描かれている。
因みに、「藤」に関しては過去に以下の句を詠んでいる。
【関連句】
① 藤浪に戯れ遊ぶ熊ん蜂
② 樹上より滝降るごとく山の藤
③ 白藤や白きは富士の残り雪
①藤浪(ふじなみ)に遊ぶ熊ん蜂を見て詠んだ句。花房に縋り付いたり潜ったりして密を吸っている様子が何とも楽しそう。
②は、あるお寺で、杉の大木から数多の藤の花房が滝のごとく垂れ下がっているのを見て詠んだ句。藤棚で見る藤の花とは違った趣があった。
③は、白藤を富士山の残雪にたとえて詠んだ。紫の藤とはまた違った風情がある。
藤はマメ科フジ属の落葉蔓(つる)性高木である。日本、北アメリカ、東アジアなどに自生する。蔓は非常に強く、他の木などに巻きついて成長する。花は、4月から5月にかけて淡紫色または白色の花を房状に垂れ下げて咲かせる。
日本固有種としては、野田藤(のだふじ)と山藤(やまふじ)の2系がある。野田藤は、花房が20cm~60cmと長い。蔓の巻き方は時計回り(右巻き)。小葉が11~19枚。一般に藤と言えばこの種を指す。
一方、山藤は花房が短く10cm~20cm程度。蔓の巻き方は反時計回り(左巻き)。葉はやや厚く、小葉は野田藤よりやや少なめの9~13枚。
藤の花を詠んだ句は非常に多い。以下には特に藤棚を見て詠んだと思われる句を選んで以下に掲載した。(以前掲載したものは除く。)
【藤の参考句】
禰宜の子の烏帽子つけたり藤の花 (夏目漱石)
やまめ焼く宿忘れめや藤の花 (室生犀星)
やまめ焼く宿忘れめや藤の花 (室生犀星)
藤の花まゆげほどなり垂れそむる (軽部烏頭子)
藤の花軒端の苔の老いにけり (芥川龍之介)
笹原や何にすがりて藤の花 (会津八一)
笹原や何にすがりて藤の花 (会津八一)