Quantcast
Channel: 写真・俳句ブログ:犬の散歩道
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1553

辛抱の菰に巻かれし蘇鉄かな

$
0
0
■ 辛抱の菰に巻かれし蘇鉄かな
        ( しんぼうの こもにまかれし そてつかな )
 
大寒の日(1月20日)が過ぎて、ますます寒くなってきそうな気配だが、立春(2月4日)まであと半月となった。後しばらくの辛抱である。本日の掲句は、そんなおりに植物園で、蘇鉄(そてつ)の菰巻き(こもまき)を見て詠んだ句である。「菰巻き」は、「藪巻き(やぶまき)」ともいい、冬の季語。

イメージ 1ところで、菰巻きとは、一般的に松や杉の木の幹に腹巻のように菰を巻き付けることをいうが、その目的は、冬を越すために下りてくる害虫を駆除することにある。菰の中に害虫の幼虫を止め、春先にはずして焼く。必ずしも防寒目的ではない。

しかし、蘇鉄など熱帯・亜熱帯植物の菰巻きは、それとは全く違い、雪や霜のため葉が傷まないよう、防寒対策で実施される。そのため全体を覆うように菰を巻く。同じ菰巻きでも目的は大きく違うようだ。(低木や竹などの菰巻きは雪折れを防ぐために行う。)

尚、京都の植物園では、毎年12月初めに蘇鉄の菰巻きが行われ、写真のような格好で冬を過ごし、3月中旬ごろに外される。

因みに、松の菰巻きについては以下の句を詠んだことがある。但し、この時は「菰巻き」をあえて季語にしていない。

    【関連句】
     ① 松の菰腹を冷やすな歳の暮  
     ② 松の菰春待つ松の化粧帯
 
①は、松の菰巻きを腹巻きに見立てて詠んだ。防寒対策でないとはいえ、見た感じは腹巻そのものである。②は、腹巻きでなく、もう少しきれいに化粧帯に見立てて詠んだ。
 
蘇鉄は、裸子植物ソテツ科ソテツ属の常緑低木。ソテツ類の中で日本に自生する唯一の種である。非常に長寿で樹齢が1000年を超すものもある。 蘇鉄の名前の由来は、この木が衰えたときに幹に鉄くぎを打ち込んだり鉄類を株元に与えるとよみがえって元気になるという「いわれ」に因む。

    【菰巻き(藪巻き)の参考句】
     藪巻や晴を見にゆく日本海      (森澄雄)
     菰巻を終へたる園に人を見ず    (宮津昭彦)
     菰巻かれ三河黒松獣めく        (下里美恵子)
     菰巻にされし蘇鉄や法の庭      (松本恒子)
     税関の菰巻しかと大蘇鉄        (西郷利子)
 
イメージ 2


Viewing all articles
Browse latest Browse all 1553

Trending Articles