■ 日当たりて香りとろける蝋梅の花
( ひあたりて かおりとろける ろうばいのはな)
今は寒の内で、その名に違わず連日寒い日が続いている。そのせいもあり、近辺では、花がほとんど見られないので、先日植物園に行ってきた。しかし、同園でも花を植え替えている最中で、山茶花、寒椿の他は、花らしい花は見られない。
本日の掲句は、そんな情景を詠んだ句だが、昨年も似たような句を詠んでおり、それをかなり修正した。「蝋梅」は「臘梅」とも書き、冬の季語。因みに、それ以外では、過去に以下の句を詠んでいる。
【関連句】
① 塀越しに薄黄の蝋梅融け始む
② 春雨にしとど濡れたり蝋梅の花
① 塀越しに薄黄の蝋梅融け始む
② 春雨にしとど濡れたり蝋梅の花
①は、ある家の塀越しに、咲き始めた蝋梅の花を見て詠んだ句。②は、蝋梅の花が雨に晒されてびっしょりと濡れてい様子を見て詠んだ句。2月の終わり頃だったので、「春雨」を季語として使った。
蝋梅は、ロウバイ科ロウバイ属の落葉広葉低木。中国原産で日本には17世紀頃に渡来。12月末から翌3月中ごろにかけて黄色い花を付ける。蝋梅という名前は、「蝋細工のような、梅に似た花」からつけられたそうだが、異説として中国の陰暦の12月にあたる臘月(ろうげつ)に梅に似た花を咲かせるところからつけられたという説もある。このことから俳句では「臘梅」と書くことも多い。
尚、名前に梅がついているためバラ科サクラ属の梅の一種と誤解されやすいが、植物学的には全く関係ないそうだ。別名でカラウメ(唐梅)、ナンキンウメ(南京梅)ともいう。
【蝋梅(臘梅)の参考句】
蝋梅や薄雪庭を刷きのこす (水原秋桜子)
臘梅や雪うち透す枝のたけ (芥川龍之介)
臘梅を透けし日射しの行方なし (後藤比奈央)
蝋梅の咲いてゐるなり煤の宿 (百合山羽公)
臘梅のこぼれ日障子透きとほす (菅裸馬)