■ 柚子の実の黄のいや増せる冬至かな
( ゆずのみの きのいやませる とうじかな )
今日は冬至(とうじ)の日。北半球では一年の間で昼が最も短く、夜が最も長くなる。
昼間の太陽の高さも一年で最も低く、日射しが弱くなるという。
裏を返せば、この日を境に日が長くなっていくので大変喜ばしい訳だが、この日が最も寒い日かというと実はそうではない。
大地も海も夏の温かさを内部に保っており、それが冷めきるのはこれから。2月の節分の頃まで寒さが日々増していく。
そんなことから「冬至冬中冬初め」(とうじふゆなかふゆはじめ)と言われ、実際には、この日から本格的な冬が始まるとも言える。
ところで、冬至に関連して、古くからいろいろな慣習がある。その一例が柚子湯(ゆずゆ)に入り、冬至がゆ(小豆がゆ)やカボチャを食べると風邪をひかないということ。
また、世界各地では、冬至日前後に冬至祭が行われているそうだが、これには太陽の力が最も弱まる日が無事過ぎ去ったことを祝う意味があるらしい。クリスマスの起源も冬至祭(ユール)にあるそうだ。
尚、「柚の実」は秋に黄色く熟し始めるので、秋の季語になっているが、下五に冬の季語「冬至」を入れることで冬の句とした。
【柚(子)の実の参考句】
一片の葉の真青なる柚の実かな (飯田蛇笏)
初凪や人立つ柚の実すずなりに (松村蒼石)
柚の実の色づき初めぬ鰯焼く (田中冬二)
盛りこぼれつつことごとく柚の実かな (飯田龍太)
初凪や人立つ柚の実すずなりに (松村蒼石)
柚の実の色づき初めぬ鰯焼く (田中冬二)
盛りこぼれつつことごとく柚の実かな (飯田龍太)
柚の実より風がうまるる熊野灘 (大西健司)