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Channel: 写真・俳句ブログ:犬の散歩道
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侘助を愛しく思う齢かな

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■ 侘助を愛しく思う齢かな
                                   ( わびすけを いとしくおもう よわいかな )

イメージ 1先日行った植物園では、目新しい花がほとんど見られなかったと前の記事で記した。しかし、花が全くなかった訳ではない。

この植物園には「つばき園」という一区画があって、そこには多種多様な椿が植えられている。その内の幾種類かは花を咲かせていた。

本日取り上げる「侘助(わびすけ)」も、その内の一つで、木全体に多くの花をつけていた。本日の掲句は、その景を見て詠んだ句である。

ところで、侘助という名前から連想される言葉に「わびさび」がある。これは、簡略を善しとし、華美を嫌うという日本独特美意識と言われている。

侘助も、椿の花としては華美でなく控え目。自分も、そんな花を愛しく思うような齢(よわい)になったんだなというのが、掲句の句意である。

余談だが、「齢」という漢字に「歯」が使われているのは、かつては歯がなくなることが心身の衰弱に繋がることに由来していると言われている。また、「よわい」の語源は、「世延い」(よはい)」((世の中で生き長らえること)だと言われている。(異説あり)

イメージ 2話は戻って、「侘助」に関しては、過去に以下の句を詠んでいる。

   【関連句】
    ① 侘助の社寂しき落花かな      
*社(やしろ)=神社
    ② わびさびを知るや侘助雨に落つ

イメージ 3①は、侘助の「わび」と寂しいの「さび」で、これぞ「わびさび」の句という感じで詠んだもの。特に落花に着目した。
②も落花を詠んだもので、冷たい雨が侘しさを増幅させていた。

イメージ 4侘助は、ツバキ科ツバキ属の園芸品種で、一般の椿より花期が早く、12月頃から咲き始める。葉も花も小ぶりで、白、紅、しぼりなどの一重の花が半開きに咲く控え目な姿が好まれ、茶花としても重用されているとのこと。

イメージ 5名前の由来については、千利休と同じ時代の泉州堺に、笠原七老兵衛という茶人がいて、後に還俗侘助(げんぞくわびすけ)と称したが、この茶人がひどくこの花を愛玩したところから、いつとなく侘助という名で呼ばれるようになったという説がある。(異説多し)

イメージ 6「侘助」の参考句は、これまでもいくつか掲載したことがあるが、今回は、それ以外のものを選定し掲載した。

    【侘助の参考句】
     すぐくらくなる侘助の日暮かな    (草間時彦)
     侘助の花の俯き加減かな      (星野高士)
     侘助に風立つゆふべもの食べに (鍵和田釉子)
     侘助の彩あはあはとささめ雪    (池田蝶子)
     侘助の二つの花の一つ落つ    (都甲君子)

*紅侘助
イメージ 7

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