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Channel: 写真・俳句ブログ:犬の散歩道
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薄日さす枯木に憩う川鵜かな

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■ 薄日さす枯木に憩う川鵜かな   
                                       ( うすびさす かれきにいこう かわうかな )

イメージ 1昨日は、ある公園の疏水に集まる水鳥を紹介したが、今日は、真鴨(まがも)などよりも一回り大きい「川鵜(かわう)」を取り上げたい。

川鵜は、他の水鳥と一緒に泳いでいることもあるが、先日行った時は、数羽が枯木の天辺に留まって休んでいた。

他の水鳥が木に留まっていることは滅多になく、ちょっと異様な感じもした。本日の掲句は、そんな様子を詠んだ句である。

尚、「鵜」は「鵜飼い」などとともに夏の季語だが、本句では、冬の季語「枯木」をおいて冬の句とした。

ところで、川鵜は何故枯木の天辺で休んでいるのか。これには少し訳があるようだ。

鵜と言えば、「鵜飼い」を思い浮かべる人も多いと思うが、もっぱら水に潜り魚を捕らえて食べる。

普通の水鳥は、羽に油を塗って水をはじくようにしているが、鵜の場合は潜りやすくするため、逆に羽は水をはじかないようにしている。

そのため、一度水に潜ると羽がびっしょりぬれてしまい、水から上がった時には羽を乾かす必要があるのである。

イメージ 2因みに過去には、ある川の浅瀬で羽を広げている川鵜を見て以下の句を詠んでいる。

    冬川に羽を乾かす川鵜三つ 


イメージ 3鵜はペリカン(カツオドリ)目ウ科に分類される鳥類。日本に主に生息するのは海鵜(うみう)、川鵜(かわう)、姫鵜(ひめう)の3種類。


この内の川鵜(かわう)は、主として本州、四国、九州に繁殖地があり、留鳥(または漂鳥)として生息する。主に川(河)に生息する鵜なのでこの名がついた。ただ、河口付近や湖沼、浅海域でも普通に見ることができる。

イメージ 4全長約80cm、翼開長約130cm、体重1.5~2.0kg。カラスよりも大形で全身がほとんど黒色。大きさ、色とも海鵜(うみう)に似るが、背や翼、嘴などに微妙な違いがある。

尚、鵜飼いに使われる鵜は主に海鵜。川鵜に比べ海鵜の方が体が大きく丈夫なためだそうだ。

イメージ 5参考句に関しては、「川鵜」も含め広く「鵜」で詠んだ句を選定し以下に掲載した。但し、「鵜飼い」に関する句は趣向が違うため除いた。


    【鵜の参考句】
     鵜の岩に鵜のかげみえず冬の海    (久保田万太郎 )
     一礁に一鵜の冬も深まりぬ        (加倉井秋を)
     凍つるまで鵜の瀬の水のひびきかな  (桂信子)
     曇天に時に湧きたつ鵜なりけり     (細見綾子)
     鵜の中のさびしきは羽ひろげをり     (林翔)

イメージ 6▼体が沈んで見えるのは、浮力が少ないため。
イメージ 7




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