■ 川風に久方ぶりの仙人草
( かわかぜに ひさかたぶりの せんにんそう )
数年前に、その灌木が伐られ、仙人草も駆除されたため、ここ数年見る機会がなかったが、先日、別の川辺でお目にかかった。
その名前がユニークで、花は白い衣を纏った仙人のようだが、そのことが名前の由来かと思っていたら、そうではなかった。
2枚目の写真のように、その果実に白い髭のようなものがあり、それが仙人のものに似ていることからついたそうだ。
本日の掲句は、そんな仙人草に久しぶりに会ったことがちょっと嬉しくて詠んだ句である。
尚、「仙人草」は季語になっていないようだが、今の時期に咲くので、秋の季語に準ずるものとして詠んだ。
*仙人草の果実と髭(9月末頃撮影)
【関連句】
① 天上の霞か雲か仙人草
② 灌木の頭は白き仙人草
①は、他の植物を覆うようにして多数の白い花を咲せている様子を、天上に霞か雲がかかっている情景に喩えたもの。
②は、ある灌木の上にまとわりついて咲いていた仙人草を見て詠んだ句。灌木が丸く剪定されていたため、仙人の白髪頭のように見えた。
②は、ある灌木の上にまとわりついて咲いていた仙人草を見て詠んだ句。灌木が丸く剪定されていたため、仙人の白髪頭のように見えた。
ところで、仙人とはどんな人なのか。ネット辞書を調べると以下のように説明されていた。
「俗界を離れて山中に住み、不老不死で、飛翔(ひしょう)できるなどの神通力をもつといわれる人。道教で、理想とされる神的存在。」
古寺などの襖絵などによく描かれている題材で、平均寿命が短かった頃は、恐らく不老不死に相当の憧れがあったのかも知れない。
仙人草は、キンポウゲ科センニンソウ属のつる性多年草。原産地は、日本、中国、朝鮮半島など。花期は8~9月。花は白色で密集して咲くが、4枚の花弁に見えるものは萼片で、本当の花弁はない。近づくととても良い香りがする。
似た花に、「牡丹蔓(ぼたんづる)」があるが、葉が、仙人草は卵形なのに対し、不揃いの鋸歯状になっているので区別ができる。また、よく知られているクレマチス(鉄線or鉄仙)は、この花の園芸種である。
有毒なため「馬食わず(うまくわず)」「牛の歯毀れ(うしのはこぼれ)」という別名もあるとのこと。
季語になってないせいか、仙人草を詠んだ句はほとんどないので、参考句は割愛する。