■カラフルな林のごとく羽毛鶏頭
( からふるな はやしのごとく うもうけいとう )
鶏頭と言えば、大概の人は、その名前の元にもなった、あの鶏(にわとり)の鶏冠(とさか)のような花を思い浮かべると思うが、今日取り上げるのは、公園の花壇などでよく見かける「羽毛鶏頭(うもうけいとう)」。
名前の通り、羽毛のような感触であり、しかもカラフルである。それが何本も並べて植えられいる様子は、ミニチュアの針葉樹林を彷彿させる。
本日の掲句は、そんな光景を見て詠んだものだが、他の鶏頭では作りだすことはできない。「鶏頭」は秋の季語。
ところで、鶏頭にはどんな種類があるのか。いくつかのサイトの記事を参考に整理すると以下のようになる。
【鶏頭の種類】
鶏頭は、花穂の形状によって5つのタイプに分けられ、それぞれに矮性種から高性種まで様々な園芸種がある。
①鶏冠(トサカ)ケイトウ系 … 花穂の下部が扁平で、上部は曲がりくねった形。
②久留米ケイトウ系 … トサカ系の中でも、花穂が折り重なって球状になっているもの。
③槍ケイトウ系 … 花穂の形が槍のような円錐形。
④羽毛ケイトウ系 … 花穂がふさふさと羽毛状になっているもの。
⑤野ゲイトウ系 … 細長い円錐形の花穂と細い葉が特徴。
①が一般に慣れ親しんでいる鶏頭だが、最近は他系統の鶏頭が多く見られ、鶏頭に対するイメージもかなり変わってきているのではないかと思う。
尚、③~⑤については、説明が異なる記事もあり、なかなか区分が難しい。
尚、③~⑤については、説明が異なる記事もあり、なかなか区分が難しい。
上記の他に「葉鶏頭」があるが、これは、赤い葉が「鶏頭」に似ているところから名付けられた植物で、鶏頭とは別属別種の植物である。
話は戻って、「鶏頭」に関しては、過去に以下の句を詠んでいる。
【関連句】
① 鶏頭のとさか風切る朝ぼらけ
② 鶏頭の朝鳴きもせず立ちてあり
③ 鶏頭の百本はある花壇かな
①、②はいずれも、鶏(にわとり)あるいはその鶏冠(とさか)を連想して詠んだ句である。
③は、正岡子規の「鶏頭の十四五本もありぬべし」のパロディー。
鶏頭は、ヒユ科ケイトウ属の一年草。原産地はアジア、アフリカの熱帯地方と推定され、日本には奈良時代に中国を経由して渡来したとのこと。花期は8月から10月頃。
「鶏頭」を詠んだ句は非常に多い。以下には、その中からいくつか選定し掲載した。(過去に掲載したものを除く。)
【鶏頭の参考句】
鶏頭のくろずみて立つしぐれかな (室生犀星)
鶏頭に秋の日のいろきまりけり (久保田万太郎)
鶏頭をたえずひかりの通り過ぐ (森澄雄)
鶏頭に冷えのあつまる朝かな (角川春樹)
神官の家の鶏頭倒れけり (岸本尚毅)
鶏頭に秋の日のいろきまりけり (久保田万太郎)
鶏頭をたえずひかりの通り過ぐ (森澄雄)
鶏頭に冷えのあつまる朝かな (角川春樹)
神官の家の鶏頭倒れけり (岸本尚毅)