■ 葉牡丹のその身美にして食べられず
( はぼたんの そのみびにして たべられず )
最近、近所でも鉢植えの葉牡丹(はぼたん)を見かけるが、先日行った植物園では、花壇の一画に葉牡丹が並べて植えてあり、得も言えぬ景が作られていた。ただ、この葉牡丹、色や形は花のように美しいが、葉の形や並び方は、どう見たってキャベツなのだが・・・。
まず、主語を自分とすれば、葉牡丹が美しかったので食べることができなかったということになる。葉牡丹が主語だとすれば、美しいが食べられない、あるいは美しいので食べられることはなかったということになる。さらに、そのことが良かったのか悪かったのか、いろいろ評価を加えると、また違った解釈ができる。
本来であれば、もう少し明確に解釈できるよう詠むべきとは思うが、いろんな解釈ができるのも良いと思い、あえて修正はしないことにした。葉牡丹は冬の季語。
ところで、葉牡丹は本当のところ食べられるのだろうか。念のためネットで調べたところ、以下のような説明がなされていた。
葉牡丹は、食用植物であるケールやキャベツと同種なので、食べることはできる。但し、①食用に改良された野菜より食味が落ちる。固くてまずい。②園芸用農薬(野菜への使用が禁じられているもの)が付着している可能性がある。
要するに、食べることはできるが、食べない方が良いということのようだ。因みに葉牡丹を詠んだ自作句では、以下のものがある。
【関連句】 葉牡丹や葉色葉並び葉振り良し
葉牡丹は、アブラナ科アブラナ属の多年草。江戸時代から正月飾り(門松の添え物など)として親しまれている。「紅白の色合いがおめでたい」「幾重にも重なる葉は吉事が重なることに通じる」ということらしい。
冬の間は観賞用として花壇に植えられているが、 2月頃から中央部がだんだん盛り上がってきて、4月頃からその先端に菜の花に似た花をつける。これまでは、観賞の対象とされず、薹(とう)が立つ前に処分されてしまうことが多かったが、近年はそれを愛でる人も多いそうだ。
【葉牡丹の参考句】
葉牡丹にうすき日さして来ては消え (久保田万太郎)
葉牡丹や渦のむらさき瀾の白 (水原秋桜子) *瀾(なみ):大波
葉牡丹の色かさなりて開きそむ (長谷川かな女)
葉牡丹の混乱の線おもしろし (京極杞陽)
葉牡丹に植ゑ替へられし港かな (黒田杏子)
葉牡丹にうすき日さして来ては消え (久保田万太郎)
葉牡丹や渦のむらさき瀾の白 (水原秋桜子) *瀾(なみ):大波
葉牡丹の色かさなりて開きそむ (長谷川かな女)
葉牡丹の混乱の線おもしろし (京極杞陽)
葉牡丹に植ゑ替へられし港かな (黒田杏子)