■ 鉄砲より喇叭よろしき百合の咲く
( てっぽうより らっぱよろしき ゆりのさく )
特にこの時期は、ラッパ状の白い花を咲かせる「鉄砲百合(てっぽうゆり)」をよく見かける。
本日の掲句は、その花をある家の前で見て詠んだ句。この花には鉄砲という物騒な名よりも、楽しい喇叭の方が似合っているというのが句意。「鉄砲百合」は「百合」の一種で夏の季語。
ところで、なぜこの花に「鉄砲」という名がついたのか。
花が開いているところが、銃口から弾丸が発射された時の様子に似ているからだろう、なんて思ったこともあったが調べてみると全く違っていた。
結論からいうと、かつて「ラッパ銃」という鉄砲があり、その形に花が似ていることから付けられたそうだ。
ネットで画像を検索してみると、この銃の銃口はラッパ状になっており、確かによく似ている。この銃は、17世紀から19世紀中頃まで実際に使われ、その後カービン銃(騎兵銃)に取って代わられたとのこと。
話は戻って、百合については過去に二十句近く詠んだが、「鉄砲百合」に関しては以下の句を詠んでいる。
【関連句】
① 楚々として鉄砲百合とは勇ましき
② 見返ればすらりと白き百合の花
①は、非常に清楚な感じがする花の姿と名にある「鉄砲」のギャップに着目して詠んだ句。
②は、この百合を菱川師宣の「見返り美人」にかけて詠んだもの。百合は、「立てば芍薬 座れば牡丹 歩く姿は百合の花」といわれるように、美人を形容する花の一つである。
鉄砲百合は、ユリ科ユリ属の多年生球根植物。原産地は日本。花期は6月~8月。直径10cmほどの大きな花を横向きに咲かす。近縁種の高砂百合(たかさごゆり)に酷似するが、それよりも小型。
比較的よく見られる百合であることから、「鉄砲百合」で詠まれた句もままある。以下ではネットで見つけた句をいくつか参考まで掲載する。
【鉄砲百合の参考句】
戦跡の鉄砲百合は海へ向く (高橋悦男)
風を呼ぶ鉄砲百合やファンファーレ (吉田初音)
明日開く一途なかたち鉄砲百合 (仙田敬子)
三つ咲きし鉄砲百合を好みけり (野村喜舟)
朝市へ鉄砲百合を肩抱へ (矢島渚男)
風を呼ぶ鉄砲百合やファンファーレ (吉田初音)
明日開く一途なかたち鉄砲百合 (仙田敬子)
三つ咲きし鉄砲百合を好みけり (野村喜舟)
朝市へ鉄砲百合を肩抱へ (矢島渚男)