■ 山百合の雄々しく咲ける杣の道
( やまゆりの おおしくさける そまのみち )
百合といえば、「立てば芍薬(しゃくやく)座れば牡丹(ぼたん)歩く姿は百合(ゆり)の花」といわれるように、美しい女性を形容する花の一つに使われる。ただ、百合の種類は非常に多く、見様によっては、違う感想を持つ百合も結構多い。
上句は、そんな山百合を見て詠んだ句である。この百合を見たのは、植物園の「自然生態園」なのだが、下五に「生態園」では感じが出ないので、「杣(そま)の道」とおいた。杣とは、「木材を切り出す山(杣山)、木材を切り出す人(杣人、樵)など」のことをいう。「山百合」は、「百合」の一種ということで夏の季語。
ところで、百合の種類は、原種で100種以上あるといわれているが、花の形からテッポウユリ系、ヤマユリ系、スカシユリ系、カノコユリ系の4つに大きく分類できるそうだ。
テッポウユリ系には、鉄砲百合(てっぽうゆり)、笹百合(ささゆり)、高砂百合(たかさごゆり)などがあり、清楚で上品な美人を連想させる。
ヤマユリ系には、山百合(やまゆり)やそれを改良した「カサブランカ」などがあり、どちらかというと大柄で男前、あるいは男前の女子といった感じである。
スカシユリ系は、杯状の花を上向きにつけることが特徴で、色も
派手で艶やかな感じ。透百合(すかしゆり)、姫百合(ひめゆり)などがこちらに分類される。
そしてカノコユリ系には、鹿の子百合(かのこゆり)、鬼百合(おにゆり)などがあり、花弁が強く反り返るのが特徴で、美人というよりも可愛いと言った方が良いだろう。
【山百合の参考句】
山百合や水迸る龍の口 (正岡子規) *迸る(ほとばしる)
山百合が目覚めといふをくれにけり (細見綾子)
見おぼえの山百合けふは風雨かな (星野立子)
山百合に囲まれてゐし憩ひかな (城戸鈴子)
籠に挿せる山百合搖らし農婦来る (小嶋信太郎 )
山百合や水迸る龍の口 (正岡子規) *迸る(ほとばしる)
山百合が目覚めといふをくれにけり (細見綾子)
見おぼえの山百合けふは風雨かな (星野立子)
山百合に囲まれてゐし憩ひかな (城戸鈴子)
籠に挿せる山百合搖らし農婦来る (小嶋信太郎 )