■ 春の陽を浴びて耀う福寿草
( はるのひを あびてかがよう ふくじゅそう )
福寿草は、名前そのものが、「福寿(幸福と長寿)」で非常にめでたく、縁起の良い花とされ、新年の季語にもなっている。だから長年、正月早々に咲く花だと思っていたのだが、実は違っていた。正月に花屋さんで売られているものは、温室で正月に咲くように育てられた花であり、自然の野に咲くのは、2月から4月。
本当は早春の花福寿草
なのである。旧暦であれば、正月に咲く花で合っていたのだが、新暦になり、正月が一ヶ月ほど早まったため、咲く時期がずれた感じになっている。
そのことを福寿草は知っているのかどうか分からないが、2月の下旬に行った植物園の「植物生態園」では、あちらこちらで、黄金色の花を咲かせていた。掲句はそんな様子を見て詠んだ句である。福寿草は新年の季語なので、この句では「春の陽」を季語として春の句とした。
*耀う(かがよう):きらきら光って揺れること。
ちなみに、過去には以下の句を詠んだ。3月中旬の頃の句で、その時は、人参のような葉も大きく広がり、花がその上を漂うに咲いていた。
関連句: 春なかばやっと会えたね福寿草
福寿草は、キンポウゲ科フクジュソウ属の多年草。原産地はシベリア東部、東アジア。当初は茎が伸びず、苞に包まれた短い茎の上に1つ2つの花をつけるが、次第に茎や葉が伸び、いくつもの花を咲かせる。
この花は蜜を持ってない代わりに、パラボラアンテナのような花弁を使って日光を花の中心に集め、その熱で虫を誘引する。その為、日光が当たると開き、日が陰ると閉じて保温性を高めている。根と茎は有毒。
別名に元日草(がんじつそう)、朔日草(ついたちそう)がある。
花よりも名に近づくや福寿草 (加賀千代女)
煖炉たく部屋暖に福寿草 (正岡子規)
光琳の屏風に咲くや福寿草 (夏目漱石)
佳き鉢に替へてひらきぬ福寿草 (水原秋櫻子)
膝もとの日の明るさや福寿草 (松本たかし)
光琳の屏風に咲くや福寿草 (夏目漱石)
佳き鉢に替へてひらきぬ福寿草 (水原秋櫻子)
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